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眠月
眠月
リボルバー拳銃と昼寝ときゃりーぱみゅぱみゅが大好きです。

2016年07月07日

カウボーイと羊のセバスチャン

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↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
ウエスタンをモチーフにしている観光牧場に勤めていたときのコスプレ写真。

今回はその牧場の話。

その観光牧場には、セバスチャンと言う名前の子羊がいた。
この羊、産まれた時から個人的に飼われていたらしいのだが、事情があって牧場に引き取られた。
そのときに、この子羊の名前をつけることになり、乗馬の責任者が
「羊だからセバスチャンでいいだろ。羊のセバスチャンな」

それは執事だろ!
アンタは江戸っ子か!
つーかハイジかよ!

というツッコミもなく、アッサリとセバスチャンに決まった。

他の羊は柵の中で飼育されているのだが、セバスチャンだけは牧場内で放し飼いになっていた。
なぜならこの羊、人間が大好きで、とにかく人なつっこいからである。
おそらく前の飼い主にとても大事に育てられたんだろうね。
一匹で牧場内を散歩しているときに観光客を見かけると、メェ~とか鳴きながら近寄っていく。
膝?を曲げず僅かにお尻を降って歩くその後ろ姿はなかなかセクシーだ。
僕のいた作業所にも勝手に入ってきて「相手してくれ~」と言わんばかりに近づいてくる。
そこはそれ、なついてくると可愛いので頭やウールの背中を撫でて相手をしてやるのだが、彼(彼女?)の去った後にコロコロしたウンコとオシッコの置き土産があったのには閉口した。

この羊のセバスチャン、遠足の子供達や修学旅行生など大勢の人がいるところも大好きで、その集団に近寄っては愛想を振りまき、牧場の人気者になっていた。
相変わらずコロコロウンコとおシッコも振りまいていたけどね。

そんなある日、とある幼稚園の園児達が見学に来た。
フロント係のM君が牧場内を案内して歩いたのだが、その様子を遠目で見てたセバスチャン、さっそく園児達にトコトコ近づい来た。

「めぇ~ぇ」

「あの羊はセバスチャンという名前ですよー」
と説明するM君。

「かわいい~」
「セバスチャーン」
「メェメェ」
「にゃあにゃあ」

園児達に囲まれ、もみくちゃになっている人気者のセバスチャン。
しばらくその様子を眺めていたM君だが、時間が迫ってきた為、園児達を次のコーナーまで移動させようとした。
しかし。園児達は人気者のセバスチャンから、なかなか離れようとしなかった。
M君は少し考えてこう言った。

「さあ皆さん! 今日のお昼のジンギスカンは、このセバスチャンを食べちゃうんだよぉ。おいしそうでしょう」


一瞬の沈黙。


「え~っ」
「やだぁ~」
「かわいそう」
「食べちゃらめぇ」
「やめてぇ」

子供達は騒ぎ出した。
「ジンギスカン食べない~っ!!」
と叫び出し泣き出す子供まで出て、その場は一種の恐慌状態になっていた。


「あーウソウソ、冗談だからね~。セバスチャンは食べないよぉ。食べるのは他の羊だよ~」
と、あわてて取り繕ったが

「やだ~やだ~、ほかの羊も食べるのやだ~」
もう、収拾がつかない。
そこでM君、セバスチャンを追い払って、園児達を無理やり次のコーナーまで移動させた。



「いやぁ、あの時はまいりましたよ」
とM君は言うが、子供達にトラウマのようなものを残したのかも知れない。
実際、その日の昼食でジンギスカンを食べる事ができた子供が何人いただろうか。
罪なM君ではある。


それから暫くして、僕は牧場を去る事になったが、当時ラム肉だったセバスチャンは元気にしているだろうか。

もう立派なマトンになって観光客になついているのだろうか。

もしかしたら……

もしかしたら、もう既にジンギスカンになって牧場の従業員か観光客に食べられちゃったのかも知れない。



うまそうだったからなぁ…





Posted by 眠月 at 06:55│Comments(0)
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